マグニチュード

北朝鮮が核実験(?)を行い、その際にマグニチュード(以下M)が話題になった。
関東大震災M7.9、2003年の宮城県北部地震M6.5、2008年の四川大地震M7.9〜8.0、2004年のスマトラ沖地震M9.1〜9.3、最大の地震チリ地震M9.5
しかし、この数字を見て直感的にその大きさが把握できる人はいないのではないだろうか?もっとも、Mの定義には様々な物がある上に、震源の深さやその土地の地質や人口密集度によって被害も異なるので直感的に把握する必要は必ずしもないとも言える。
しかし、震度と共に提示されることが多いMであるならば、よりわかりやすい表現も考えて良いのではないだろうか。
被害の大きさとしては震度の方がわかりやすい。しかし、規模を示すには震度は適切ではないことが多い。最大震度6の地震、とだけ言われてもそれが関東全域を破壊するものなのか、関東の一部だけが震度6で他は4とか3なのかはわからないからだ。よって、Mは単なる被害の他に規模(エネルギーの大きさ)を示すものとして欠かすことはできない。

というわけで、これからはMについて。各国、または同じ国でも時期によって採用しているMは微妙に異なっている。
たとえば日本の場合は2003年を境に違う計算式を用いている。最初に提起されたリヒターのMは結構単純で、Mが1増えるとエネルギーは10倍というものだった。これは既に廃止されていて、現在使用されているMは1増えると約31.62倍になる。リヒターのMは2増えると100倍になるが、現在の物は2増えると1000倍になる
北朝鮮の核実験はアメリカの値では2006年がM4.2、今回がM4.7になっているので、エネルギーは約5.62倍と計算できる(0.1増えると約1.41倍)。専門家がTVで4倍と言っていたが、これは日本の気象庁発表でMの差が0.4として計算した物だろう。0.4だと3.98倍となる。
一般的に簡略化された計算式はlog10E=4.8+1.5Mで、修正やら補正した結果、M0だと約63,000,000ジュール(以下J)。M9.5だと約11,000,000,000,000,000,000J。
つまりM0.0は6300億J、M9.5は11京J。
M0.0=6.3E+7J、M9.5=1.1E+18Jと書くこともできる。
パソコンに詳しい人だと、M0.0=63メガJ、M9.5=11ペタJでも通じるだろう。
しかし、これだとやはり直感的にはわかりにくい

TNT換算という方法もある。TNT爆薬のエネルギー量を基準として(TNT火薬が発するエネルギーの実際値とは異なる)エネルギーをグラム換算する方法だ。これだともう少しわかりやすい。
M4.0は15tM5.0は480tM6.0は1万5千tM7.0は48万tM8.0は1500万tM9.0は4億8000万tM9.5は26億t
つまり、宮城県北部地震は8万4000円。四川大地震は1500万円。チリ沖地震は26億円。26億tのTNT火薬を想像することはできないだろうから、tを使わずわかりやすいように円にしました。
Mという数字では「3」しか違わないが、何とかそれぞれの地震の規模がわかってもらえるのではないだろうか?

この方法で北朝鮮の実験規模を表すと、最初の実験は約30円。今回の実験は169円。(計算間違いは見逃してください)<(_ _)>
広島に落とされた原爆が15000円ですから、威力は大体1/88と言えるわけです。長崎と比較すると1/130。ちなみに東京大空襲と比較すると、概算だが1/9.8(広島型原爆のエネルギー総量の1/9が東京大空襲に相当として計算)。
エネルギー総量からすると、10発飛んできたら東京大空襲規模となる計算となる。

ただし、マグニチュードをそのままTNT換算するのはあまり適当とは言えない。というのは、地震波は固い岩盤と緩い岩盤とでは減衰率も増幅率も違うので、一般に大陸と日本のような島嶼とでは地質が違うため、同じエネルギーでも実際に受けるエネルギーの総量は異なるからである。
しかし、マグニチュードも実際をそのまま反映しているわけではないのだから、より理解しやすい値を取り入れるのも一案ではないだろうか。

※繰り返しますが、計算間違いはご容赦ください。