レセプトオンライン化

日本では各病院のレセプトを2011年4月までにオンライン化請求を義務化することになっている。
レセプトとは診療・調剤報酬明細書のことで、診療報酬点数その他が記載されている。もちろん、病名は当然として個人情報も含まれる。この診療報酬点数に応じて保険者(自治体や各種健康保険組合)に医療機関から金銭の請求が行われる。日本の健康保険業務の基礎となる資料である。
時々レセプトを改竄して不正請求が行われる事件があるが、オンライン化はその手口を統計などの方法で判断できる(疾病発生率・発生数に対して処置の発生率・数が偏在する場合は不正の可能性が高い。また、特定地域で発生する疾病を初期段階で発見できる可能性もある)との期待もある。
多くの総合病院では会計が既に電算化されており、レセプトのオンライン化に対するハードルは低い。だが、個人病院となると話は別だ。医師・医療事務員の高齢化やコンピュータに対する知識、コンピュータ導入の金銭的負担が障害となる。実際、オンライン化が義務づけになったら14%の診療所が廃院を検討しているというデータもある。(http://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/0907/06/news01.html)
レセプトは現在では紙媒体の他に電磁気的記録媒体(FD、MO、CD-R。PDやMDはダメらしい…)での提出も可能である。こうなるとオンライン化は自然な流れだが、現状は紙媒体と電磁気的記録媒体の併用。つまり、電算化をしていない病院はいきなり紙媒体からオンライン化へと急激な転換を迫られることになる。
先のリンク先では東京医師会の大橋理事がこの急激な転換について否定的な意見を述べている。主としてコンピュータの知識と導入経費がその論拠だが、さて、これらはどこまで事実だろうか?
現在、PCの価格は極端なまでに低下している。ちょっと型落ちを探せば5万円以下で購入できるPCは無数に存在する。レセプト計算用のソフトは現在日本医師会標準レセプトソフトが34万円だが、これにはインストールや操作指導、機器の設置費用なども含まれている(http://www.netlab.jp/products/ORCA/)。
正直、この価格はアフターサービスの人件費を含めてもボッタクリとしか思えないが。
入力作業についてはどうだろうか?総合病院以外では使用する薬剤も治療内容も限定される。バーコードでの入力(バーコードのスキャナーは3000円程度)でも十分に対応できるだろう。バーコードは画面上に表示されるものを読み取るという方法でも良いのだから、紙媒体を漁る必要はない。
バーコードには治療内容や投薬薬品名とその量を併記する必要があるが、それほど困難ではない。逆に、バーコードに限らず電算化すれば治療内容と投薬内容とが食い違っている場合には警告を発するなど投薬ミスの予防にもなる。
電算化の簡略化、低コストは実現できる。専用回線を使う、としているのであれば接続方法も一般化できる。各社異なるプロバイダに応じた接続設定に苦しめられることもない。電算化とオンライン化は最適化した場合は通常のPC導入&ソフト導入&ネットワーク構築より低コストになる可能性が高い。
標準レセプトソフトはアンチウイルスソフトのように自動でアップデートされるので、新しい薬品やジェネリック薬品にも対応できる。
残るは医師・医療事務が新しい方法をどうやって学ぶかだが、医療事務は置いておくとして、医師が新しい技術について行けないはずがない。また、治療時にバーコード入力(救急の場合は事後入力になるだろうが)することで医療事務への負担はほとんどなくなる。月に一度、送信ボタンを押すだけ、という形にすらできるかもしれない(実際には直接的な医療事務だけではなく未払い診療分の処理など様々な行政対応という負担があるので楽になっても暇になることはないだろうが)。
標準レセプトソフトの低価格化と効率化、ハード提供側の良心的な対応(たとえば私のサブマシンはVistaがさくさく動くレベルで4万円以下)で医療側への負担はかなり下げられる。
そして、最も問題となるランニングコストは国が負担すべきだろう。なにしろ、オンライン化を義務づけると決めたのは国なのだから。

今日のトラブル
外付けHDD・500Gが死亡。だからサムスン製は嫌なんだ。どこの世界にウィルスチェックかけたら死ぬHDDがあるんだよ…。というわけで、ウェスタンデジタルの1Tを購入。外付けHDDを売るメーカーは、使用しているHDDを必ず公開してほしい。

ここしばらくの勉強。
中核派関係の活動を調べるために佐々淳行氏の著作を購入。東大安田講堂事件時の法学研究室占拠が中核派主導であることを確認。ヘタレっぷりはどこも同じだが、少なくとも対面の列品館にいたML派よりはマシ?