TSUNAMI

高さ100m、時速800kmの津波が観光地ヘウンデに襲来する韓国映画
韓国では地震やそれに類する知識が根本的に欠如している。普通の人はマグニチュードと震度の区別がついていないし、高波と津波と高潮の区別も出来ていないように見える。まあこれは日本人とて十分な知識があるとは言えないが、韓国の場合はマスメディアですら酷いものだ。
韓国ではアメリカと同じく改正メルカリ震度階級(1〜12の階級に別れている)を採用している。これは体感・被害度による階級分けであるにもかかわらず、マグニチュードと関係づけられている。
アメリカの場合は「震源に近い場合にはこのメルカリ震度程度になる」と、距離を限定しているが、韓国の場合はメルカリ震度マグニチュードを一対一で対応させており、かつWikiでは「震度(マグニチュード)」と震度とマグニチュードを同義と扱った上で、メルカリ震度と対応させている。
例)メルカリ数5は震度(マグニチュード)4.8と対応
不思議なことにこの震度とマグニチュードの混同は韓国本国人だけではなく在日にも見られる特徴で、これは朝鮮人学校の教育に由来するのではないかと推測している。もしそうであれば、朝鮮人学校の教育の質を問われる事になるだろう。
マグニチュードについての理解のなさは、今年韓国の哨戒艦が沈没した際の爆発を感知した時のマグニチュードTNT換算が完全に間違っていたことからも明らかだ。この間違いが単純に報道した新聞社に由来する物であれば事の深刻さはさほどではないが、もしも軍の(あるいは地震関係の研究所の)発表に由来するのであれば深刻だ。

さて、津波だが高さはともかく、時速800kmの津波というのは普通に存在する。太平洋の平均深度は約4km。津波の速度cはsqrt(重力加速度*海の深さ)なので、太平洋での津波の平均速度は720kmとなる。一方c=800km/h≒222m/sの場合は深さ5500mあれば800km/h超となる。
実際、1960年のチリ地震津波は約17000kmを22時間半で伝播しており、これは平均時速750kmとなる。平均が750kmということはもっと速い場所もあるということだ。時速800kmの津波が普通に存在すると言える。
しかしこれは沿岸以外での計算式であり、沿岸では別の計算式となる。水深20m、高さ100mの津波の速度は時速約123kmとなる。沿岸では時速800kmにはなりません。

一方、高さは単純に計算できない。一般に津波の高さは地震による断層の高さやリアス式海岸など海が狭まるなど地形の効果に左右される。
最大級の津波は隕石の落下によるものと考えられており、メキシコ湾沿岸には約6500万年前の隕石落下による高さ約300mの津波痕がある。
記録に残っている波で最大級の物は地震によりフィヨルド地形の湾内で発生した地盤崩落によるもので、これは海抜520mに達した。ただしこれは津波ではなく高波に分類されるもののようだ。しかし、地盤崩落によっても津波は発生するので一つの指標にはなる。

さて、映画では地震の発生場所は対馬ということになっている。対馬朝鮮半島間の海、「対馬海峡西水道(朝鮮海峡)」の平均水深はせいぜい100mなので津波の速度は時速113km程度。とてもじゃないが800kmになんて達しない。
対馬朝鮮半島の距離は50km程なので、800km/hの津波だと4分程で到達する計算になる。映画では10分としているが、これは数字上の問題ではなく演出上の都合だろう。地震発生→津波計算→警報発表の過程で2分(日本の場合)かかるので、4分で到達すると残り2分。これでは映画にならない。

速度は無理だが、対馬震源として高さ100mの津波を発生させるのなら対馬の海岸線で大規模な地盤崩落があれば原理的には可能である。
ただし津波は発生地点から同心円状に進む。湾奥で発生して、直後の移動が見た目直進していたとしても、湾から出た時点から同心円状に広がる。
つまり地盤崩落で発生した津波は映画の舞台であるヘウンデ(海南台)だけに襲来するわけではなく、朝鮮半島南岸・東岸全体にやって来るし、奥尻島で見られたように回り込んで朝鮮半島西岸にまで到達する。高さが100m規模であれば、減衰してもソウル直撃となる可能性もあるだろう。

津波は特定の地域に襲来することはない。湾状の地域で被害が大きくなることはあるが、奥尻で大きな被害をもたらした北海道南西沖地震ではロシアでも死者を出している。
TSUNAMIの原題(韓国でのタイトル)はヘウンデである。舞台名なのだろうが、映画では他の地域への被害はどの程度として描かれるのだろうか。
まあ震源である対馬での死者に対してさほどの注意が払われないことは確実だろう。