電子ペーパー 普及の鍵は?

電子ペーパーと呼ばれる物は結構昔からある。概念だけならば相当古い。実際に形として電子ペーパーが世に出たのは1970年代にまで遡る。
電子ペーパーは文字や画像を表示する媒体だが、それだけだと液晶と違いがない。具体的に特徴を列記する。

  1. 一度表示したら電力を消費しない。
  2. 書き換え時にのみ電力を消費する。
  3. 紙のように薄く、曲げられる。
  4. 紙と同じく反射光を利用するため視認性がよい。
つまりユーザー側からするとバッテリーの保ちが良い。
使用事例は富士通のサイトhttp://jp.fujitsu.com/group/labs/techinfo/techguide/list/paper.htmlに行くと載っている。
簡単に言えば「一定期間表示し続けるが、定期的もしくは不定期に書き換えが行われる紙」の代替物として利用できる。
富士通のサイトでは「電車やバスの中吊り広告」「時刻表(定期的に書き換えが行われますね)」「カード表面の残高表示」「店舗での価格表示」が例示されているが、他にも大量の紙を使用する場面は多い。
病院の休診情報や学校の合否判定、試験の結果発表、ちょっとしたマニュアルとして店舗に配られるものやチラシ等膨大な量になる。
さらに、液晶ディスプレイの代わりとして使うことも考えられる。現在使用されている液晶ディスプレイの中には、ほとんど静止画だけを表示している物も少なくない。銀行等の番号表示器や免許の合否判定は液晶やLEDで行われている。LEDと置き換える必要は無いだろうが、バックライト付き液晶と置き換えるのはコスト的に見合った物になる可能性がある。
ところで現在販売経路に乗っている個人用の手持ちのビューアーは電子ペーパーの名から想像する物とは違ってかなりごつい外観をしている。
キーボードのないノートPCを想像して貰えれば良いだろう。ただし、一昔前の厚みがある。
なぜこのような外観をしているのか実に疑問である。バッテリーは仕方がない。データのやりとりのために無線LANBluetoothが必要なのも理解できる。しかし、LEDを保護するための外観を維持する意味はないはずである。ほとんど使用しないCPUは書き換え時以外は低クロックでアイドルにし、データストレージはSSDにすれば廃熱機構も必要ない。
必要なのは電子ペーパー本体に一定のテンションをかけつつ、周囲に危険を及ぼさない物。空気で膨らむチューブでも電子ペーパーの周囲に張り巡らせて、機能部分は本体に集約すればよい。チューブの太さや空気圧を調整すれば本体に付けたレバーを一度〜数度動作させるだけで展開させることも可能だろう。
その程度の集約技術は既に存在している。グリップのような形状に合わせて基盤を構築するのは困難ではあるだろうが、その技術は間違いなく他の製品にも利用できる。
ちなみにこのチューブ式の展開機能は、丸めて本体内に格納した電子ペーパーを半分だけ引き出して使用することも考慮してもらいたい。
A4サイズの電子ペーパービューアーを購入し、家では完全に展開して使用し、電車などの混雑した場所では利用できる空間だけを利用する、ということは要望として必ず上がるだろうからである。
この時、引き出した電子ペーパーの長さを計測して文字サイズやページ送り量等を自動的に変える機能も必要だろう。
チューブ式の展開機能は、またそれ自体がクッション性を持つので電子ペーパーだけではなく周囲の人間に対しても危険度を減少させる。

電子ペーパーを使用したビューアーはいくつか製品化されているが、どれもがかなりごつい外観をしている。部材を選定することで軽量化は出来るだろうが、持ち歩いて電車の中で使用するという気分にはならない。
グリップ部分にハードを集約すべきという理由は単なる外観だけの問題ではない。人間が感じる重さは保持部分から重力方向に対して水平に離れる程強くなることも考えなければならない。
釣り竿は直立して持てば軽いが、水平に持ち続けると辛い。そして、ビューアーはその利用形態を考えると本同様に水平から直立の間で使われるはずである。
ビューアーとしての製品はまだ高価であるし、利用方法も限定されているが、今後の紙媒体流通が様々なコストによって圧迫されていることを考えると市場は十分にある。
紙、印刷、輸送などのコストによって電子化された雑誌も少なくない。それらは常に違法コピーという問題を抱えている。ビューアーに違法コピーを防ぐ機能がBIOSレベルその他で実装されていればそれらの問題はかなり解消できる。PDFに暗号キーを付けている物もあるのでそれでも良いのかも知れないが…。
この場合、最初に市場を掌握した企業・製品がデファクトスタンダードとなる。正直な話、既存の電子ブックの仕様にこだわる必要は無いと思われる。電子ブックの仕様が作られた時点と現在とではストレージやGPUのパワーが全く違っているからである。

などといったことは実はかなりどうでも良くて、使い勝手が良い電子ビューアー(出来ればカラーでPDFとJPGとが読めるA4見開き対応)が欲しくてたまらないだけだったりする。