今日の科学の力

脳から知覚映像を読み出す
http://www.atr.co.jp/html/topics/press_081211_j.html
こちらはニュースなどでも取り上げられているので割愛。
夢は膨らみますねぇ。見ている物を記録できるようになったらスナップショットを残したり出来るようになるのでしょうか。
漫画描くのが楽になるかも…。

今日の本命はこちら。
人工衛星を利用した深海探査機の遠隔制御試験に成功
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20081210/index.html

深深度掘削船「ちきゅう」について興味があったので独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)のメールマガジンに登録しているのですが、これも今日飛び込んできたニュース。

従来の深海探査機は大型の母船を必要としていました。何しろ揺れる海の上、GPSだって位置情報を正確に読み取るのは難しいし、母船の位置が正確にわからないと探査機の位置も正確に掴めない。
人工衛星を使う上でも「人工衛星とのリンクを保つ」ことがネックになっていて、小型船舶を母船にして気軽に調査、ということは出来なかったわけです。
相模湾のような日本の近海調査なのに太平洋のまっただ中に移動できるようなサイズの母船を出さなければならないというのは研究・調査のコスト面で物凄いマイナスになります。

ところが今回の試験は漁船クラスの母船で、ハイビジョン映像を衛星経由で送れる可能性を示し、しかも探査機の制御を母船からではなく陸上の施設から行えることも確認できたのです。
使用している人工衛星のアンテナはテニスコート2面分だそうで、この衛星じゃないと無理かも知れませんが。
しかし、逆に船が用意しなければならないアンテナなどの装置は小型の物でも良く、探査船側が用意するのはそれより小さくても良い、という利点が生じたようです。これも母船の小型化に貢献するわけですね。
映像を複数の研究施設に送れるので、探査機を操作していて妙な物を見つけたらその専門家にリアルタイムで説明を求めたり、専門家が確認のために探査機を操作したりといった多元的な利用も可能とか。
魚類の専門家しかいない船で地質学的な発見をした場合などに使えるのでしょう。魚類調査に行った船が日本沈没の予兆を発見、なんてことがあり得るわけです。
何より期待が高まるのは母船無しでも遠隔操作できるという話。これはまだ実証されていないのですが、来年3月には実証試験が行われるとのこと。

ここまで行くと、もはや深海のウェブカメラ。
動力源をどうやって確保するかはひとまず無視するとして、深海の様子を自分で探査機を操作して見ることが出来るかもしれないなんて、身悶えしそうなくらい萌えます。
それでスケーリーフット(硫化鉄の鱗を持った巻貝)やKiwa hirsuta(ハサミに金髪がついてるロブスターモドキ)なんか見つけた日には興奮して倒れるでしょう。

深海探査では日本は世界トップクラスの実績を持っています。
情報技術分野でもそこそこの実力は持っています。
宇宙開発でも日本は貢献しています。アンテナの展開なんかは日本の発想が生かされています。
そして、様々な要素を統合する技術は日本のお家芸として残って欲しい物です。