弁護士は取りあえず法律を守りましょう

裁判員候補者が実名明かし制度廃止訴え、批判の声も
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081220-OYT1T00606.htm

裁判員制度に反対する弁護士や学者らの団体「裁判員制度はいらない!大運動」http://no-saiban-in.org/が記者会見を行った。
HPの呼びかけ人の名前を調べてもらえばわかるが、簡単に言うと「日本を悪い国にしよう」「日本という国を解体しよう」といった思想の人たちが集まってます。

さて、裁判員候補者の弁は以下の通り。…3人目がいないのはどうしてでしょう。書くまでもないことしか言わなかったのでしょうか。

「有罪・無罪や量刑の判断は法律の素人にはとても無理」(65歳の男性会社員)、「死刑や無期懲役を言い渡して嫌な気持ちになりたくない」(65歳の無職男性)
「有罪・無罪の判断は法律の素人には無理」と言うこの方は、人生でどれほど多くの罪を犯してきたのでしょうか?日本で普通に生きている人は法を守って生活しているから、逮捕もされないし民事で訴えられたりもしないのです。法律の素人に有罪・無罪の判断が出来ないとしたら我々はまともに社会行動が取れません。
この人に聞いてみたいものです。「あなたは人を傷つけたら犯罪だということを知っていますか?」と。知らないのでしたら上の主張も納得できます。
そもそも、裁判員制度では「法律上の問題は裁判官のみが判断する」のでこの主張そのものが意味を持たないのですが。

「量刑の判断は法律の素人には無理」というのも変な話です。法律上の問題は裁判官が扱ってくれるので、量刑の幅は確定します。たとえば強盗殺人(強盗致死罪)なら無期懲役か死刑です。強盗傷害(強盗致傷罪)なら無期または6年以上の懲役です。
ここに弁護士の主張と検察の求刑という幅がさらに加わります。例を強盗傷害として、話がややこしくなるので犯人が無罪という例を除外します(実はこれに関わる「事実認定」の方が素人には難しいと思うのですが)。
弁護士:「犯人は反省もしているし、計画性もない。怪我も軽く、自首して逮捕後は進んで協力していることを斟酌して5年が妥当」
検察官:「自首している点は考慮できるが、再犯であり動機も身勝手なもの。検察は12年を求刑する」
こんな場合は5年〜12年が選択の幅になるわけです。ここから、犯人の前科とそれに対する刑罰を見て、類似する犯罪の判例を見て、検察と弁護側の話を聞いて、裁判官の意見を聞いて、他の裁判員の意見を聞いて判断するわけです。これだけの情報があって判断できないなどということがあるでしょうか?

「死刑や無期懲役を言い渡して嫌な気持ちになりたくない」というのは理解できます。しかし、この制度はそもそも量刑の判断が民間が望むものと乖離してしまったことの反省によって始まろうとしている物です。
死刑相当の人間が無期懲役になっても我々は嫌な思いをします。もっと懲役が短い判決も多々あります。この場合も嫌な思いをします。
また、死刑や無期懲役になるのは犯人に原因があるのであって、裁判員に原因があるわけではありません。多くの場合死刑や無期懲役判例に基づいて決定されるので(そこから情状酌量などで減刑されることはある)裁判員が判断することは少ないでしょう。
それと、「言い渡す」のは裁判長の役目です。

司法が正しく運営されることこそが日本の社会を正しく動かす一つの原動力です。裁判員候補者が、不特定多数に自分が選ばれたことを公表するのは法律違反です。今回の「大運道」はこのようなことを行う人間たちの集まりです。
そういえば、この呼びかけ人の中には過去に賭博罪で捕まった人も混じっていますね。

大体どんな団体だかわかるというものです。彼らの何人かは、昔活動を共にしていた連中のなれの果てが「総括」の名の元に裁判員どころか裁判長兼検察などということをして12人もリンチ殺人した人もいるのではないかと思うのですが。これは邪推ですかね。