外国人の地方参政権
民主党、共産党、社民党・公明党は永住外国人の地方参政権を推進しようとしている。憲法では以下のように参政権について定義されている。
さて、これのどこに地方参政権を許容する余地があるだろうか。
第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
最高裁判決の傍論では次のような物がある。これが永住外国人への地方参政権付与の根拠となっていると一般には言われている。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/89B4E23F93062A6349256A8500311E1D.pdf
憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない
要約すると、
- 地方自治はそこの住民の意思に基づいてそこの地方が処理することを憲法八章は求めている。
- 地方自治体が独自に参政権などを永住外国人に付与することは憲法上禁止されていない。また付与しないことは違憲ではない。
- しかしそれは国が判断・立法措置を講じるべき事柄である。
この傍論部分には法的拘束力はない。さらには、この傍論は「強制連行などの歴史的経緯を重視した」結果書かれた物である。
公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。
つまりこの傍論はあくまで「強制連行などによって日本に永住することになった外国人が対象」と見なすべきである。
そうなると法の上での平等の原則を逸脱しているので、この傍論を以て永住外国人に参政権を付与しようとする見解には同意できない。
そもそも日本が国家として行った強制連行は存在しないし。
また、歴史的経緯を考慮すると仮定した場合にも、時間的にどこまで、また様々な緒論ある歴史の取捨選択はどうする、という問題が生じる。
そもそも日本に居住している「歴史的経緯」を有する外国人を中国・韓国・朝鮮籍と定義できるのだろうか?少なくとも韓国籍の団体である民団の調査ではほとんどが強制連行とは無関係だし、朝日新聞の調査でもいわゆる強制連行によって日本に居住することになった韓国・朝鮮籍一世は250人程度となっている。
強制連行が存在したとして、先祖にその被害者が何人いれば良いのだろうか?在日一世の片方が被害者であればいいのだろうか?二世の親の両親の誰か1/4が被害者であればいいのだろうか?アメリカの黒人規定は曾祖父母の代の1/8誰かが黒人であれば、という物だったようなことをやるのだろうか?
これほどの問題を含んだ傍論は何事かの根拠とするにはあまりに適当ではない。
朝鮮籍の団体である朝鮮総連は参政権付与に反対である。反対する人間にも付与するのは可能だが、人権問題ではないだろうか。
韓国で永住外国人にも参政権を与えたので在日韓国人にも相互主義の観点から日本でも同様にすべきという意見があるが、これは全くの噴飯物。
韓国籍にだけ参政権を与えろと言うのならば理解できるが、それは他の外国籍の者に対してあまりに不平等である。
日本が永住外国人に参政権を与えるとするならば、その根拠は一国の相互主義ではあってはならない。日本に在住するすべての諸外国が永住外国人に参政権を与えているならば一考の余地はあるが。
また、日本に居住する朝鮮籍・韓国籍の者は祖国(※朝鮮籍の成人すべてが北朝鮮の参政権を所有しているとは限らない)での参政権も有している。そのほかの国でも日本に居住していて参政権を保障している場合があり、それらの国の態度も考慮しなければならない。
地方参政権を求める各党は憲法を改正する必要がある事実をどう考えているのだろうか?参政権が国民主権によって保障されている以上、参政権の付与は国民主権から変えなければならないということはどう考えているのだろうか?
改憲や国民主権の問題は、民主党のように「国民から主権を奪い取って他国に委譲する」などと考えている党には々でも良いことなのかもしれないが。
永住外国人参政権について積極的な各党についてはその動機が以下のように言われている(真実か否かは不明)。
社民党・共産党
旧社会党、共産党は在日韓国・朝鮮籍をその構成員としていた経緯があり、その当時の勢力を取り戻したいとする説。在日韓国・朝鮮人は現在でもそうだが暴力的な抗議活動で実績があり、その力を欲しているという説。
公明党
支持母体である創価学会が韓国で布教する交換条件として、参政権付与活動を支持されているとする説。
民主党
不明。まともな理屈が見えないのでもっとも不気味。鳩山由紀夫によると、「愛」と「日本人の余裕や度量の深さを見せるため」だそうだが、他の方法でもそれは実現できるので参政権にこだわる理由にはならない。
2009/10/16 「判決自体は」を「傍論でも」に修正。