GWの分散化

手を代え品を代え、日本を破壊する策を巡らす存在がありますが、そんなところがまた新たな手を考え出しました。
ゴールデンウィークを地方別に設定するという物です。ハッピーマンデーを止めるというのはある程度理解できるのですが、連休が少なくなれば経済効果的にはどう考えてもマイナスです。文化的には意義があるかも知れませんが、祝日の由来は知りたければいくらでもその方法はあるわけで、元に戻したから文化的な意義が回復されるかと考えればそれはまた違うと。様々な法案に混ぜられた目眩ましの数々は個別に考えないといけません。
で、ゴールデンウィークを地方別に設定するという話。あれですか?私と兄家族は実家に帰る時期がずれてしまうわけですか?各地で働いている同窓生とは会えなくなるわけですか?うちの父が単身赴任で別の地方に行っていた場合は休みの時期が異なって会えなくなってしまうわけですか?
家族や友人との触れ合いは経済効果に劣ると思っているようです。

観光地の場合はもっと深刻です。観光地で働いている人たちはゴールデンウィークを過ぎてから遠方の家族や友人との時間を持つしかない。地方別でゴールデンウィークが設定されたら、その時間は奪われる。
一方、地方別でゴールデンウィークが設定されれば旅館などは満室となる確率が減ることになる。となると期間中に受け入れられる数が増えるので、一定の経済効果はあるだろう。それは良い。

渋滞の緩和に貢献するとされているが、旅行を見合わせる数が減った分が移動すればその地方での渋滞が増えるだけの話。地方の高速道の拡充や複路線化が凍結された状態だと、ほとんど効果はないでしょう。さらに、首都高など複数の高速道を結ぶような場所はそれぞれの地域の人々がやって来るために長期間に渡って渋滞する可能性も高い。
当然、渋滞が短期で激しくなるのと長期でだらだらと続くのとどちらが問題なのかは検証しなければならないが、普通に考えれば長期でだらだらの方が悪いのは確実だろう。
もちろん航空業界にも影響が出るだろう。

また、ハッピーマンデーをなくすとなるとカレンダー業界も混乱する。ゴールデンウィークが地方別になるとなれば、カレンダーにもそれを反映させなければならない。

銀行もゴールデンウィーク中はATMを停止することが多いが、それはどうなるのか。銀行の場合、地方別で休むことになったら振り込みなどはどう扱われるのだろう。休みの地域の地方銀行に、別の休みではない地方銀行から振り込みが行われた場合の処理は休み明けになるのか?
ヨーロッパの数カ国では地域別の休みを実施しているところがあるらしいので、全国レベルの経済がどうなっているのかはそちらが参考になるかもしれない。もっとも、外国で成功した物が日本でも、とはならないのは普通のことだ。

特定の材料や部品を一企業が独占的に扱っている例は珍しくない。しかも、そのような材料や部品は日本の工業の基幹部分であったりすることも多い。その企業がある地域が休みになった場合、他の地方で組み立てを行っていたら部品が足りなくなって事実上休みになってしまうことも考えられる。
この種の企業は高度な技術を職人の腕に頼っていることが多いので、あらかじめ大量に部品を作っておくことが困難である。
組み立ての場合そのような部品を様々な地域の企業から集めていることもあるので、下手をすると5月いっぱい製造がストップする可能性もある。

問題は山積みだ。ハッピーマンデーを止める程度ならば困るのはカレンダー業界とカレンダーアプリを作っている人たちだけで済むが(私も含む)、ゴールデンウィークを地域別に設定するのは影響範囲が大きすぎる。

今は携帯でスケジュール管理をしている人も多いだろうが、携帯のカレンダーも当然新しい休みに対応した物に替えなければならない。もう携帯から撤退したメーカーや古い機種の作成者がいなくなっているメーカーもあるだろう。今日本に流通している携帯全機種のカレンダーを替えるための労力を考えるだけで気が遠くなる。

もし法案が通ったら、まずしなければならないのは携帯のカレンダーを新しい物に替えることだ。そして、そういったアップデートはほとんどの場合、トラブルを招く。自分の携帯がトラブルを起こさないことを祈るしかない。