メガソーラーの1

一説には孫正義氏の電田構想=メガソーラー発電は一ヶ所あたりの太陽電池パネル施設での発電量がM(メガ)単位という所から名前が来ているのだとか(真偽は不明です)。
ではメガソーラー発電はどの程度の規模かというと、20MW程度の施設を全国10ヶ所程に設置するということらしい。ちなみに福島第一原発は33000000MWhの発電量(33TWh)。
昨日、横須賀の火力発電所(東京オリンピック当時の施設!!)が再稼働したというニュースの中で、移動式ガスタービン13機がアメリカから到着して同施設内で稼働中であることが伝えられました。
移動式ガスタービン発電機の発電量は、メガソーラーが全て設置された場合の計算上の発電量とほぼ同じ。しかも燃料さえあれば24時間発電可、発電量一定以上を維持可、必要面積は発電所の一角(に13台並んでました)。大きさは大型トレーラー(コンテナ運ぶようなやつ)程度。
メガソーラー構想がいかに無駄と言うか馬鹿げているかの象徴のような話。

太陽光発電のデメリットはあちこちで書かれているのでいまさらですが、何ヘクタールにも及ぶ太陽光パネルの維持にちょっと注目してみます。
まず設置から。太陽光パネルは休耕田に設置されます。休耕田は土地の整備が農地用です。
太陽光パネルの設置に必要なのは雨ニモマケズ風ニモマケズそこに存在し続けることです。雑草に覆われた土地の上にポンと置けば良いわけではないので、最低限の基礎工事が必要になります。
基礎工事を怠ると、雨で地盤が削れた結果傾いて発電しなくなったり、パネルが壊れたりします。基礎工事を怠ると、台風が来たら飛ばされてしまいます。パネルは地面に対して角度が付くように設置されている場合がほとんどですので、風が吹くと様々な方向への力を受けます。
基礎工事は建造物の上にパネルを設置する場合は比較的簡単に済みます。建造物上部に重量物(太陽光パネル)を置いても構造上問題なく、風が当たる強さを計算しても問題がなければ、基礎工事はその建造物が建築時に行なったもので済むからです。
ところが更地となると話は別です。木が生えていればそれを刈り、草を刈り、石をどけ、十分な強度を得るまで地面に杭を打ったり穴を掘ったりしなければなりません。さもなければメガソーラー施設は台風一過の翌朝に雲散霧消してしまいます。
基礎工事は送電施設、電柱とか送電塔を作る場合にも必要となります。

ちょっと想像してみましょう。何ヘクタールにも及ぶ基礎工事の金額を。普通の住宅地建設では地面を均して排水を計算しやすくしたりや風の影響を平均化したりしてそのあたりを軽減しています(そもそも均さないと暮らしにくい町しか作れないし)。休耕田は一般に稲作に適さない場所に存在しています。その理由は土地の形状だったり気候だったり労働力不足だったりと様々ですが、圃場整備が行われていても住宅地並に均された土地はそうそう存在しません。そもそもそういう土地は休耕田になっていない事が多いのです。基礎工事だけでも負担は大きくなります。
さらに、メガソーラーはあくまで休耕地を借りる形式で設置されます。いつかは現状復帰して還す事を考えなければなりません。つまり基礎工事で打ち込んだ杭とか打ったコンクリとか一切を取り除かなければなりません。切った木とか草とかは元に戻す必要はないでしょうが、それでも相当な負担です。

さて、今度は発電開始後です。草とか木が一定以上の高さに成長すると発電の支障になるので定期的に刈る必要があります。台風の後はパネルの状態を調査しなければなりません。大雨の後、地震のあと、黄砂の後、大雪の後、…と言うか、まともに発電量を維持するためには日常的なメンテナンスが必要となります。
普通の発電所ではそれなりに広いとは言えせいぜい町なら10ブロック程度の範囲でしかも継続的に使用可能であることを前提とした基礎工事を行い、メンテナンスも自動化出来る部分はしまくった状態での維持作業ですので、毎日メンテナンスをしてもそれにかかる費用は微々たるものです。
一方、太陽光発電はどの程度の労力を必要とするかというと、毎日数ヘクタールの基礎状態の確認、パネルの構造状態確認、ガラス面の清掃状態、周辺土壌の状態、漏電の有無、発電パネルの劣化状態、影を作る可能性があるものの確認、etc..が必要となるわけです。毎日。
いくつかは自動化できるし自動化するのでしょうが、あまりにも高コスト。それだけやって、移動式ガスタービン13機分の発電しかできない
二酸化炭素の排出量が抑えられるかといえば、これらのメンテナンスを行うだけでもエネルギーは必要なのでそうとも言えない。樹を切ってパネルを設置するのであればその分も使用する。基礎工事とその解体に使用されるエネルギーも計算に入れれば(原発がやらなかった計算方法ですね)さらに増加、パネルの設置場所はパネルの生産地からは離れている可能性が高いので輸送費、パネルを地面に固定するための資材も同じくエネルギーを使う。
それだけやって、電力を作る時間はせいぜい1日平均3時間40分(15%)。
つまり200MW×3時間40分×365日=262800MWh。福島第一の1/125。しかも安定しない。200Mwって発表は発電効率含みなのか?

これから太陽電池発電効率は上がるだろうし、パネルのコストも下がるだろうけど、電力を作る時間(今は12〜15%程度)は劇的に向上しない
原発よりも影響が少ない、と言うか死ぬことはない、なんてことも確認されているわけではない。都市化が周辺地域の気候を変え、生態系を変えてしまうのは既に実証済み。同じことが電田メガソーラーで起きない保証はない。
なにより、休耕田はただの遊休地ではない。食料を生産する土地として活用しなければならない土地であり、国家の安全保障にもかかわる土地。
同じ使うなら、太陽光パネルに飛びつくよりマシな発電方法に使ったほうが良いと思う。
食料生産が必要だからパネルおいてた土地返せ、って言ったら、ゴネて金とろうとするかもしれないぞ?あの会社は。